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同人誌を作って、学んだこと

同人誌を作ったことで、自分の中の行動の原動力がどう変わったか。制作・孤独・繋がりについて書きました。

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なぜ描き始めたのか

同人誌を作ろう、そう思ったきっかけについて。確かにあるといえばあるのですが、それを書き始めると話がとっ散らかってしまうので今回は割愛します。色々あったんです。バイクで指の骨を骨折したりとか……。

当時の創作に対するスタンスを振り返ると、描くという行為は「描けない自分」と向き合う行為であり、必ずしも楽しいことばかりではありませんでした。むしろ辛い時期の方が長かったかもしれない。

「創作=(自分にとって)つらいもの」という刷り込みが積み重なって、創作から少しずつ離れていく——そんな負のスパイラルに陥っていたのかもしれません。

初めての同人誌作り

何やかんやで始まった同人誌制作ですが、決して順調とは言えるものではありませんでした。

20ページ以上の漫画を一つの作品として仕上げた経験のない自分にとって、全てが初めてで何もかも手探りの状態。コマ割りの正解が分からず、ネームを何度も描き直す。ようやくコマの構成が決まったと思えば、まともな線がろくに引けず、一コマ一コマ何度も描き直す。その繰り返しでした。

行き詰まるたびに、自分の好きな作家さんの作品を引っ張り出して何度も読み直しました。「この人はどうコマを割っているんだろう」「この線はどういう手の動きで引いているんだろう」と、ひたすら研究して、また手を動かす。

当時は働きながらの制作だったので、労働時間以外の余暇はほぼ全て制作に投下していました。極限の状態になると、ご飯を食べる時間すら惜しく感じてきます。白米に醤油をかけただけのものでその場をやり過ごすことも、一度や二度ではありませんでした。

とにかく「完成させること」だけを目標にがむしゃらに突き進んでいたため、周りを見る余裕もなく、ただ自分しか見えていない状態だったと思います。

孤独と繋がりの狭間

創作とは、湧き上がるひらめきを発信する行為だと思っています。そのひらめきを形にするためには、どこかのタイミングで必ず自己内観するフェーズが必要になる。

内観とは、孤独に自分と向き合うことです。

では、僕は孤独の中で黙々と作り続けられる強靭な精神力を持っていたのか。——決してそんなことはありません。

僕には幸運にも、創作に携わる友人がいました。彼は僕より1歩……いや、2歩3歩先で創作の世界を走り続けている、そんな友人です。

第三者から見ると、ふたりがそれほど親しい間柄には見えないかもしれません。専らお互い気が向いたときにオンラインで通話する、そんなゆるい繋がりだからです。

でも、少なくとも僕にとって大切なのは、どれだけ長時間通話したかではない。通話をしていない時間も、きっと彼は自身の創作に向き合っているとわかる——その事実が重要なんだと思います。

つまり、創作を通して繋がっている。孤独な作業の中でも進み続けられるのは、この道の先で繋がれると信じているからです。

創作を通して人と繋がりたい。でも、その過程は孤独でなければならない。——皮肉な図式ですが、だからこそ尊いとも思っています。

イベント参加

正直に書きましょう。最初の同人誌を完成させるまでには1年近く時間がかかりました。

長期間かかってしまった理由は色々ありますが、本質的な問題を挙げるなら「余計なプライドを捨てきれなかった」——これに尽きると思います。

イベントに申し込んだのも、完成が見えてきたタイミングでたまたま開催が近かったからという、なんとも消極的な理由でした。振り返ると当時は、制作だけでなくイベントへの参加姿勢まで、何から何まで自分本位だったと今は反省しています。

そんな状態で臨んだイベント当日。「一冊も手に取られなくて当然だ」と、どこかで決めてかかっていました。

でも——興味を持って、手に取ってくれた人がいた。

ここで気づいたことがあります。いくら時間をかけて作ったものでも、読者にとってそれは関係ない。自分が費やした労力や葛藤は、手に取る側には一切見えない。それでも興味を持ってもらえただけで十分すぎるほど嬉しかった。

ましてや、貴重なお金を差し出してくれるということの重さ。

あのとき手渡してもらった500円は、今まで手にした金銭の中で、間違いなく一番心が動かされたお金でした。

製作を通して得たもの

同人誌を作って、自分の中で一番変わったことがある。それは行動の原動力です。

制作を始めた当初、動機はシンプルでした。「良いものを作りたい」——ただそれだけ。自分の技術を上げたい、納得できるものを形にしたい。どこまでも自分に向いた欲求でした。

でも、イベントで誰かに手に取ってもらったあの瞬間から、何かが変わりました。

「良いものを作りたい」が、「誰かに喜んでもらいたい」に変わったんです。似ているようで、全然違う。前者は自己完結できますが、後者は他者がいなければ成立しない。この視点を得たことが、同人誌制作を通じた最大の学びだったと思っています。

そして気づいたことがもう一つあります。同人誌の制作プロセスには、創作活動に必要なことがほぼ全て詰まっています。企画を立て、作品を作り上げ、イベントで手に取ってもらえるよう工夫して、読んでくれた人の反応を受け取り、次に活かす。企画・制作・営業・読者との繋がり・評価と反省——このサイクルを一通り経験できる場として、同人誌制作はとても密度が高い。

あのころ感じていた「先細りしていく感覚」は、今はもうありません。ゴールはまだ見えていないけれど、迷路の中にいる感覚は消えた。誰かと繋がりながら歩いているからだと思っています。

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